シキ801 B1

- 155t積 吊掛け式大物車 -

シキ801B1 全景

シキ801 B1 全景 1位側から

シキ800形は昭和48(1973)年に初号機であるシキ800が、翌年にこのシキ801が製造され、時代が下った平成8(1996)年に3号機となるシキ810が増備された。
残念ながら3輌のうちシキ800は2019年11月に運用から外れ、廃車解体された。

シキ800形は吊り掛け式荷受梁のB1、B2と落し込み式荷受梁のCタイプが用意され、積荷の形状により選択される。
C荷受梁は単独では使用できず、B2梁との組合せで形成される。

シキ800形のB1梁の特徴として荷受梁左右の位置が調整でき、白いハンドル(全4箇所)を手動操作することで幅を調整できる。またヒンジ穴も上下に2箇所用意され、様々な積荷や継手に対応できる万能タイプであることが挙げられる。

 2020年3月 記

撮影:1993.05.15. 富士川駅

シキ801B1と記載された銘板

シキ801B1と記載された銘板

 

シキ801 B1 全景

シキ801 B1 全景 2位側から

 

積荷の変圧器の側面には1本のブレーキ管が取り付けてあるのが見て取れる。 積荷により分割されるB梁タイプの大物車においては、車体の前後を結ぶブレーキ管を積荷が負う構造となっている。

この巨体をたった1本の管では心許ない気もするが、万一破断した場合には空気が漏れ、ブレーキがかかるという安全側に作用する仕組みがとられている。これは鉄道車輌全般の共通仕様でもある。


ディテール

155t積大物車

155t積大物車

 

NC-3C台車

NC-3C台車

台車の配置は2-2-2-2軸複式ボギーで2組の台車を台車上枠が、2組の台車上枠にまくら枠が載る構造であることが見て取れる。車輪の直径は800mmと重心を低くした設計であった。

撮影:1993.06.27. 安善駅

小山駅常備

常備駅

小山駅常備

小山駅には近くに変圧器メーカーの株式会社東光高岳があり、敷地内に留置されていたものと思われる。

ブレーキ弁

  • 荷   重 ハンドル位置
  • 80トン以上  閉  切
  • 80トン未満  開  放
日本通運株式会社

日本通運株式会社

日本通運が所有する私有貨車で小山駅常備、車籍はJR貨物。

銘板

銘板

東京 日本車輌 昭和49年

注意 反対側に手ブレーキあり

検査標記

検査標記

右側から

  • 重要部検査(平成)5(年)-8(月まで) 4-5-20(検査) 小山区
  • 全般検査 (平成)5(年)-8(月まで)1(年)8(検査) 大宮工
  • 交番検査(平成5)6-10(まで) 3-17(検査) シキ801 1級 小山機区
  • B1 全般検査B級 48ヶ月以内、交番検査1級 90日以内

 

変圧器

今回の積荷は変電所などで使用する重量110tの変圧器であった。
写真の白い構造体全部が変圧器本体で、この形のまま変電所に据え付けらる。両脇の赤茶色の部材は積荷の筐体と荷受梁を固定するための継ぎ手で、通常は一度きりの特注仕様である。

中央の円形の部材には「乾燥空気」と記述されていた。特殊なガスが封入されているわけではないようだ。
三相交流である変電所の変圧器は3組の回路で構成されるため、接続部も基本的に3組で設計されているのが見て取れる。

重量110tの変圧器

重量110tの変圧器

 

貨車車票及び特殊貨物検査票

貨車車票及び特殊貨物検査票

特別な注意を要する貨物を積載する貨車には、貨車車票の他、貨車表示票が使用される。
大物車では特殊貨物検査票がこれに当たる。

発駅の常陸多賀には日立製作所国分工場へ続く引込線があり、ここで製作された変圧器の輸送シーンに対面していることになる。
残念ながら送り先の変電所は不明。

貨車車票

  • 貨車記号番号:シキ801 B1
  • 発駅:常陸多賀 発駅コード:4219
  • 品名:変圧器 重量:110.0(t)
  • 着駅:東静岡(用宗)
  • 着駅コード:5213
  • 5月13日 - 経由  - 取卸し
  • 5/6共通第92号 取卸し
  • 荷受入:ツ(日本通運のことか?)
  • 記事:特31 入

特殊貨物検査票

  • 輸送番号:特31号 輸送経路: -
  • 輸送経路: - 
  • 積載限界:第1限界内
  • 最大高:4,160MM
  • 最大幅:3,040MM
  • 最大長:8,800MM
  • 貨物下面と軌条面との間隔:150MM
  • 検査:(平成)5年5月12日
  • 水戸機関区  客貨車区 
B1梁のヒンジとクサビ

B1梁のヒンジとクサビ

荷受梁の左右間隔が調節できることが出来、また積荷との継ぎ手の種類によって、荷受梁のヒンジの位置を使い分けている。今回は下段のヒンジが使用されている。

ヒンジの左右間隔とクサビ配置

ヒンジの左右間隔とクサビ配置

2350mm 2200mm 2000mm
つまり今回のヒンジの左右間隔は2000mmということになる。
荷受梁の左右の間隔は白い円形のハンドルで調整し、クサビで固定する仕組みになっている。

図面

シキ800形 B1 図面


回送

シキ801B1回送

シキ801回送

EF64-1017牽引によるシキ801B1回送。
このアングルからだと白いハンドルが荷受側にもあり、全部で4ヶ所あることが確認できる。

2013.10.29. 早川-根府川間

シキ801B1回送

シキ801回送

2014.02.14. 早川-根府川間


EF65 1065

試験塗装第一号機のEF65 1065

EF65 1065

今回の牽引機はJR貨物の試験塗装第一号機であるEF65-1065。
1998年6月の全般検査で国鉄色に変更されるまで唯一無二のカラーリングであった。

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ヨ8395


ヨ8000

ヨ8395 3位側から

かつては貨物列車の最後尾に必ず連結されていた車掌車も1986年で原則廃止となり、この撮影当時でも目にする機会は稀で記録するに至った。 ヨ8000形は1974年から79年まで1170輌が製造された車輌で、国鉄最後の車掌車であった。

ヨ8000

ヨ8395 4位側から

車体に記載された判読できる文字を以下に記載

  • 東ヤマ(所属略号:小山電車区)
  • 自重 10.1t
  • ヨ8395(車籍JR継承)
  • 換算 10.1
  • 形式 ヨ8000
  • B1(全般検査B級 交番検査1級)
  • 7-6-4(平成7年6月4日まで)
    3-6-4(平成3年6月4日検査済み)
    新小岩車(新小岩車両所)