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EF65-500

- 高速客車・高速貨物用直流電気機関車 -

昭和40年代に入るとブルートレインの需要が高まり、EF60では牽引力は満たしていたものの長距離高速運用には性能不足となった。

そこで、EF65 0番台より高速性能を向上させ、20系客車対応の機器を備えて誕生したのが EF65 500番台 P形である。

EF65 537

御殿場線の貨物を牽くEF65 500番台

撮影:1979年09月19日 山北駅

かつて御殿場線にも貨物列車が走っていた。写真はEF65-537号機。
撮影当時の御殿場線にはEF60かEF65-500番台が貨物を牽引していたが、晩年期には、機+ヨ+ワフといった短小編成になっていた。 機関車の所属は1986年まで存続していた沼津機関区。

EF65 500番台
項目
車軸配置 Bo-Bo-Bo
自 重(t) 96.0
換 算 9.5
主要寸法 最大長(mm) 16,500
最大幅(mm) 2,800
最大高(mm) 3,819
全軸距離(mm) 12,320
台車中心間距離(mm) 4,760 x 2
動輪直径(mm) 1,120
  パンタグラフ形式 PS17
性能 出力(kW) 2,550
引張力(kg) 20,350
速度(km/h) 45.0
最高運転速度(km/h) 110(許容115)
台車 主台車形式 DT115B
中間台車形式 DT115C
歯車比 18 : 69 = 1 : 3.83
  主電動機(形式 数) MT52 x 6
MT52A x 6
  製造数(輌) 25 (改造7)P型
17 F型

P 形

ブルートレインの輸送力増大と将来的に最高速度110km/hを目的に、一般形であるEF65 0番台と同時に開発されたのがEF65 500番台のP形(Passenger 客車用)である。

新製配置は全車が東京機関区で、ブルートレイン全盛期の花形機関車として活躍することになる。 P形、F形の車体番号付与は変則的で、P形は 501〜512、527〜531、535〜542の全25輌である。
ただし 535〜542号機はEF65 0番代から改造した車輌であった。

0番台との外観上の相違は、20形客車を牽引するためのKE72形ジャンパ連結器、元空気溜め管等がスカート廻りに、また、ヘッドマークを提示するためのフックが付加された点が挙げられる。一方で、尾灯の縁取りは0番代1次車と同様の古いタイプのものが全車に踏襲された。

昭和61(1986)年に沼津機関区が廃止されると、その多くは高崎第二機関区へ転出されたため、筆者の地元である小田原沿線ではすっかり見かけなくなってしまった。

EF65 504

EF65 504

撮影:1993年03月29日 浜川崎駅付近

JR貨物色に更新塗装された後では、0番代との区別はつきにくい。

車歴
落成1965-07-19川崎車輌・川崎電機
配属1965-07-19東京機関区
転属1972-10-02下関運転所
転属1978-12-06沼津機関区
転属1986-02-23高崎第二機関区
転籍1987-04-01JR貨物
廃車2005-03-30 

白字は撮影時の所属を示す

EF65 505

EF65 505

撮影:1993年03月29日 八丁畷駅

重単運転するEF65 500番台

車歴
落成1965-08-12川崎車輌・川崎電機
配属1965-08-12東京機関区
転属1978-09-03新鶴見機関区
転属1985-03-14高崎第二機関区
転籍1987-04-01JR貨物
廃車2005-03-30 
EF65 535

EF65 535

撮影:1993年03月29日 浜川崎駅付近

EF65 0番台として誕生した車輌で、ブルートレイン牽引機の不足を補うため 77〜84号機が改造され、EF65 535〜542号機となった。500番台は542号機をもって製造終了となる。

写真の535号機はそのロットの1輌である。
平成20(2008)年にJR東日本がATS-Pを導入した際に500番台への設備対応は見送られたため、状態の良い当機は高崎第二機関区に保留状態となっていたが、2013年に製造元の東芝で保存されることとなった。

車歴
落成1967-03-28EF65 77 東京芝浦電気
配属1967-03-28稲沢第二機関区
改造1968-07-06EF65 535 浜松工場
転属1968-07-08東京機関区
転属1978-08-26新鶴見機関区
転属1979-06-13沼津機関区
転属1986-03-16高崎第二機関区
転籍1987-04-01JR貨物
保留2008-03-31 
保存2013-3月東芝府中事業所
EF65 536

EF65 536

撮影:1980年05月03日 熱海駅

この車輌もブルートレインの牽引機不足により0番台から改造されたグループである。 1968年10月に東京機関区に配属されていることから、東京発のブルートレインを牽引していた花形期を経ていたことが読み取れる。
しかし、概ね1978年7月28日よりPFが運用に当たることになり、再び貨物列車の牽引機として余生を送る事になる。

廃車の翌年には車体前部のみではあるが、関水金属埼玉工場に保存されている。関水金属とは鉄道模型メーカーKATOの社名である。

車歴
落成1967-03-24EF65 78 汽車製造・東洋電機
所属1967-03-24稲沢第二機関区
改造1968-07-18EF65 536 浜松工場
転属1968-07-18稲沢第二機関区
転属1968-10-01東京機関区
転属1978-07-31新鶴見機関区
転属1979-06-30沼津機関区
転属1980-10-14吹田第二機関区
転属1983-02-17東京機関区
転属1984-02-15新鶴見機関区
転属1986-10-31高崎第二機関区
転籍1987-04-01JR貨物
廃車1998-12-02 
保存1999年関水金属埼玉工場に部分保存

F 形

最高速度100km/hで1,000tの貨物列車を牽引する目的で開発されたのが EF65 500番台のF形(Freight 貨物用)で、車体番号は513〜526、532〜534の全17輌である。

重連運転で総括制御可能な設計で、ジャンパ連結器、空気管付き密着式連結器が採用された他、重量編成に対応すべくブレーキ性能も強化された。

先述のとおり、落成当時はブルートレインの牽引機が不足していた時代で、これを補うためにP形の装備も付加された。 つまり実質上のPF形で、花形のP形よりも上位機種であったと言える。

しかし、総括重連の貨物やブルートレインの牽引は短期間で終わり、その後は一般貨物の運用に廻されることになった。

F形の外観上のP形との差異は、連結器およびその周囲の連結器具類である。
また、518〜520・526号機の6輌は、のちに上越線の運用に向け前面窓上部にツララ切りが設置され、独特な印象を与える車輌となった。

EF65 520

EF65 520

撮影:2015年8月 碓氷峠鉄道文化むら

車歴
落成1966-03-03東京芝浦電気
配属1966-03-03吹田第二機関区
転属1968-09-13新鶴見機関区
転属1969-11-22広島機関区
転属1975-03-04米原機関区
転属1984-01-31稲沢第二機関区
転属1986-10-31高崎第二機関区
転籍1987-04-01JR貨物
廃車2002-03-15 
保存2003年碓氷峠鉄道文化むら

参考文献:
「EF65形メモリアル」 交通新聞社
「ブルートレイン ザ・ファイナル」 三栄書房


関連:
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EF65-1000