シキ280 B1 全景
シキ280形は昭和33(1958)年にB2梁で誕生した大物車で、2年後にB1梁が製造された1輌のみの存在であった。
B1が165t、B2が130tまで積載できる設計で全長は空車時でそれぞれ25,786mm、26,000mmで、のちに誕生するシキ800B1よりも積載重量は大きい。
今回の撮影時では荷物を挟んだ状態で36m超の長大車輌となっていた。
平成17年(2005年)に全検切れとなり、その後は試験用という形で富士電機千葉工場で保管されている。
2020年3月 記
撮影:1993.06.13. 富士川駅
ロシキ▲280B1と記載された銘板
ロシキ
地域を限定して運用する最高速度65km/h以下の貨車を示すローカルの「ロ」を冠し、車体には黄帯が施されている。
数字の前の▲はJR化後も車籍を継承したしるし。
シキ280 B1 全景
シキ280 B1 全景 2位側から
ディテール
台車上枠に2組の2軸ボギー
台車の配置は2-2-2-2軸複式ボギーで、2組の台車を台車上枠が、2組の台車上枠をまくら枠が載る構造であることが見て取れる。
NC-3 台車
NC-3台車はシキ800にも使用された系列のもので、直径は800mmと重心を低くした設計であった。
スポーク車輪が使用されていることも稀少な存在であった。
まくら枠
黄帯が施されている部材をまくら枠といい、このまくら枠の心皿にB1荷受梁の軸芯が据えられているのが見て取れる。
シキ280の場合、この軸芯が牽引と荷重の応力を一手に引き受けることになる。
荷重 165.0t
自重 74.6t
形式 シキ280
京葉市原駅常備
京葉市原駅は千葉県市原市にあり、大物車は富士電機千葉工場の敷地内に留置されていた。
心皿の位置
B2梁では少し車輌中央側(写真中央)の位置にある心皿が使用される。まくら枠に開いた二つの穴は心皿の状態を確認するためのものだろう。
部材の一部にリベット接合が使用されている点に製造された時代を感じる。
B1梁上部
各部材の幅が確認できる写真。
上部積荷側は作業足場として利用されるようで、滑り止めが加工された鉄板で覆われている。
富士電機株式会社
富士電機が所有する私有貨車で車籍はJR貨物。
銘板
東京 日本車輌 昭和33年
車籍 JR貨物
検査標記
右側から
- 全般検査 (平成)7年-9月-12日(まで) 3-9-12(検査) 日本車輌
- 重要部検査(平成)5-9-12(まで) 3-9-12(検査) 日本車輌
- 交番検査(平成5)8-31(まで) 6-7(検査) 1級シキ280B 村田派(出)
- B1 全般検査B級 48ヶ月以内、交番検査1級 90日以内
重量150tの変圧器
今回の積荷は変電所などで使用する重量150tの変圧器であった。
写真の白い構造体全部が変圧器本体で、この形のまま変電所に据え付けられ様々な器具や装置が接続される。
三相交流である変電所の変圧器は3組の回路で構成されるため、接続部も基本的に3組あるのが判る。
貨車車票
貨車車票
- 貨車記号番号:シキ280 B1
- 発駅:京葉市原 発駅コード:4341
- 品名:変圧器 重量:150.0(t)
- 着駅:醒ヶ井(岐阜タ処理)
- 着駅コード:5423(02)
- 6月11日 入 経由 - 取卸し
- 荷受入:ツ(日本通運のことか?)
- 記事:特45号
貨車表示票
特別な注意を要する貨物を積載する貨車には、貨車車票の他、貨車表示票が使用される。
大物車では特殊貨物検査票がこれに当たる。
特殊貨物検査票
- 輸送番号:第1限界内
- 最大高:4,050粍(mm)
- 最大幅:3,000粍
- 最大長:10,600粍
- 貨物下面と軌条面との間隔:150(mm)
- 検査:(平成)5年6月10日
- 新小岩機関区
客貨車区