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東京電力 山北発電所

銘版:山北発電所

山北発電所

山北発電所の発電用水はJR御殿場線の谷峨駅付近にある酒匂川の取水口から導水路として山中を貫き、ここ山北発電所で使われます。
現在のようなボーリング機械のない大正時代に数kmに渡るトンネルを手掘りで施工した事実には驚かされます。この水利や地形と密接な関係を持つことが水力発電の魅力なのだと思います。

ここ山北発電所で使用した水は一旦酒匂川へ放水し合流しますが、すぐに役野(やくの)の水門で取水されます。合流というより交差といったほうがいいでしょうか。

地図 (別窓で開きます)
↑山中を貫く導水路の様子がよくわかります。

送電線は安土線のみが接続し酒匂川線No.42へ接続します。

水量20.9m3/sec、有効落差39.87m、出力7000kw 

山北発電所全景

役野の取水口

山北発電所から酒匂川へ一旦放水され、対岸の水門から取水されます。
河川を横断する形となります。

水圧鉄管

発電所脇は立ち入ることができるため、間近に観察できます。

水圧鉄管

変電施設を俯瞰

回路の短絡の様子が詳細に見て取れます。専門的にはラインスイッチいいます。
遠隔操作による装置の動きを示してみました。
番号1の下にあるボックスが遠隔操作により起動し、最終的に番号6の器械が時計回りに回転すると通電する仕組みです。

三相回路の観察

それぞれの回路を着色してみると、3本で1セットであることが明確にわかります。
同行して下さったSさんの解説によると、これら三相交流のうち上相を示す記号が赤で●、中相が白の▲、下相が黒また青の■とのことです。
これらの記号は各送電鉄塔にも表示されており、双眼鏡で観察すると見えてきます。


用水路下流側

役野の取水口

山北発電所から酒匂川へ一旦放水され、対岸の水門から取水されます。
河川を横断する形となります。

水利使用標識

河川名 二級河川酒匂川
許可年月日 許可番号 昭和62年 6月18日
  神奈川県指令河第1-11号
許可期限     平成29年 3月31日
許可権者名    神奈川県知事
水利使用者名   東京電力株式会社
水利使用の目的  発電
取水量      最大20.9m3/s
貯水量
取水施設管理者名 東京電力松田制御所 土木保守G
所轄事務所名   神奈川県松田土木事務所

下流側の発電用水路 高瀬橋付近

役野の水門から取水され、最初に地上に現れる場所です。落差を稼ぐため酒匂川右岸をほぼ水平に流れていき、内山発電所で使用されます。止水時には下の写真のような断面が見られます。

酒匂川への放水路 高瀬橋付近

水路は点検時などに水がぬかれます。本線は写真右方向へ直角に折れ曲がり、内山発電所へ続きます。

止水時に現れた水路断面

台風等の増水時には発電設備への被害を防ぐため水路は止められます。
空になった水路を目にする機会はあまりありませんが、間知石による風格ある擁壁で構成されています。


用水路上流側

水路橋

発電所の上流にある鍛冶屋敷川を用水路が越えていきます。

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紅葉の季節の水路橋

国道246号 新安土隧道

ここはトンネルの上を水路が流れ、いわゆる天井川となっています。
左側のトンネルは旧道で、幅員が狭いため一方通行となっています。

山北発電所上部の水槽

フェンス越しに撮影してます。水槽の右側はオーバーフローとなっていて余分な水が流れ落ちる仕組みになっています。対岸の上ノ山からその様子が見て取れます。

迅速測図

黄色 主な道
濃青 河川
水色 河村用水
茶色 建設中の御殿場線

明治中期測量の迅速測図によると、後にこの隧道の出来る尾根は、南へ半島のように突き出した様子が伺え、水路のために盛土したのではなく、天然の地形だったことが判ります。発電所の選定にあたっては地形を巧みに利用した設計であることが伺えます。

現在の地形図と比較すると新たな発見があります。