山北発電所施設 水路橋

管理用階段

地形図に青い破線で描かれている山中を貫く水力発電用導水路ですが、鍛冶屋敷川を越える部分は地表に現れ、橋として表記されています。大野山へ向かう車道の谷側を注意深く歩いていると、ガードレール越しに管理用の階段があったので探索を。
階段を下りると間もなく水路橋が現れます。想像していたものより、ずっと威厳と風格があり圧倒されました。山北発電所の運用開始が大正3年ですから、それに合わせて建設されたもので、百年近くの歴史を抱くことになります。現代の通り一遍な土木構造物にはない美しさが感じられます。導水路は発電所でなるべく落差を確保するため、1/1000〜1/1500という水平に近い勾配で施工されています(1/1000勾配とは1km進んで1mの高低差)。水力発電施設は、地形と密接な関係があるため、地図好きには興味はつきません。
余談ですが、相模川水系の八ツ沢(やつさわ)発電所施設の第一号水路橋は平成17年に重要文化財に指定されています。

地形図(別窓)>>

ステレオ(立体)写真はこちら>>

間もなく水路が見えてきます。

 

古いレンガのテクスチャー

川床まで階段は続いています。

岩場を呈する鍛冶屋敷川

上流側には滝がありました。水源がどこなのか、上の車道からは判りませんでした。

ディテール

なんとも心憎い装飾美があります。

当時の最先端の工法と考えられますが、トンネルの掘削は手彫りだったといいます。人海戦術にしても、トンネルの断面を考えると掘削の先端部は数人しか作業できなかったはずです。

 

水路橋360°VR >>

秋に再訪したときの一コマ

JR谷峨駅付近にある山北発電所取水ダム

山北発電所から約2.5km上流で取水され、導水路は山中をほぼ水平に貫いています。

管理用口

バス停瀬戸六軒屋付近に管理用の横穴があります。施工時に残土搬出に使用されていた可能性もあります。


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