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送電鉄塔 飛騨信濃直流幹線

No.196

鉄塔全景

鉄塔全景

 

飛騨信濃直流幹線は東日本大震災直後の首都圏の電力不足を踏まえ、周波数の異なる中部地方以西からの受電を増強するために建設され、2021(令和3)年3月31日に運用を開始した新しい送電線です。

飛騨信濃直流幹線は岐阜県高山市にある飛騨変換所を起点とし新信濃変電所までの89kmを直流±200kV、全197基の鉄塔で結んでいます。

交流の周波数を変えるには、どうやら一度直流に変換しなければならないようで、佐久間周波数変換所などの通常の変換所は交流60Hz→直流→交流50Hzの全設備が構内にあります。
一方で、 飛騨新信濃直流幹線を含めた当新設備は飛騨変換所と新信濃変電所とが分担した構造になっており、それぞれの変換設備を結ぶ直流回線部分がこの送電線になります。

通常は変電所構内にある直流区間が、89kmに亘り外部に設置された光景は非常に特殊で、筆者の知る限りは国内唯一の大規模直流送電線です。

2022年4月探訪

地図 >  

 

鉄塔全景

新信濃変電所構内にあるNo197鉄塔

腕金が2段の鉄塔は通常の3相交流のものとは雰囲気が大きく異なります。


銘板

飛騨信濃直流幹線 No.196

鉄塔銘板

近景

東京電力
飛騨信濃直流幹線

 196

令和3年3月(建設)
34M(高さ)


回線札

1号回線札

どうやら1回線側(飛騨側から見て左)が+200kV、2回線側が-200kVのようで、単独の回線では単純に地表との電圧差しか稼げないところを2回線を逆の電圧で通すことで2倍の電力が得られるようです。

両方とも+200kVではダメなのか?と筆者は思うのですが、頭の良い人たちが設計したことなので、間違いないのでしょう。

回線札

2号回線札 

上段の帰線は地線を兼ねています。
このような超高電圧の設備であっても回路として閉じる必要があるため、戻すための導体が必要になります。 ちょうど、鉄道の架線とレールの関係に当たるのだと言えます。


詳細

上下相で異なる碍子 

下段の本線の碍子は15連であるのに対し、上段の帰線は4連と電圧の大きく下がった設計になっていることが伺えます。

詳細

ジャンパー線支持部詳細

ジャンパー線との接続部を拡大してみると電気的な装置ではなく、カウンターウェイトのように見えます。