田ノ入発電所
田ノ入発電所は三保ダム直下の左岸に位置します。 神奈川県下の発電所といえば東京電力の管轄と思われがちですが、他にも神奈川県企業庁や電源開発(株)などもあり、東京発電(株)も、然りです。
これは歴史的な経緯でこのような形になっており、所有は東京発電ですが、運用制御は東京電力が行っているようです。
東京発電田ノ入発電所鳥瞰図
(1) 発電所位置 | 神奈川県足柄上郡山北町 大字神尾田字田ノ入587番地 |
(2) 使用水量 | 最大時 12.0m3/s |
(3) 有効落差 | 最大時 71.871 m |
(4) 発電力 | 最大 7,000kW |
(5) 年間供給電力量 | 33,500,000 kWh |
(6) 発電所設備 | |
水 車 | 立軸 フランシス型 最大出力 7,450kW 1台 |
発電機 | 立軸三相同期発電機 容量 7,800kVA 1台 |
変圧器 | 屋外油入自冷式 容量 10,000kVA 1台 |
(7) 着工及び完成 | 着工 昭和51年12月 完成 昭和53年4月 |
わが国の発電所は全国的に見て全体の約90%が火力及び原子力発電によっており、水力発電は約10%です。水力発電は天然の水資源を利用するクリーンなエネルギー源として大変貴重なものです。三保ダムでも水道用に放流される水を有効に活用して田ノ入発電所が設置されております。
丹沢湖で貯水された水は、ダムで調節されてダム左岸の放流施設で最大時毎秒25m3が流されています。
田ノ入発電所は、この放水路の途中から分岐して最大時は毎秒12m3を使って最大7,000kWの発電を行うものです。
この発電所は無人式ですが最新式の自動制御装置を備え、下流約20kmにある東京電力株式会社松田工務所で集中的に遠方制御されております。
この発電所で起きた電力は、県西部地域に供給されています。この電力量は約3,500戸の家庭の電気をまかなう能力をもっております。
東京発電株式会社
現地説明版より転載
歯車
この歯車は、三保ダムの建設によって、埋没した東京電力嵐発電所、田ノ入ダムのローリングゲートの巻上機に使われていたものです。
田ノ入ダムは、大正9年富士紡績(株)によって建設されたもので、以来富士電力(株)・関東配電(株)・東京電力(株)と移管され、昭和50年まで使われていましたが、三保ダムの建設にともないその使命を終えたものです。いまはその役目を、三保ダムが果たしています。
現地説明版より転載
展示してある水車
これは東京発電(株)田ノ入発電所の水車ランナです。
昭和53年4月の営業運転開始から平成17年10月までの27年間、電気をつくり続け、その使命を終えたものです。
水車は水を高いところから落とした力を回転エネルギーに変える役目を持ちます。
その回転エネルギーで発電機を回転させて発生した電気を皆様のご家庭に供給しています。この水車ランナが今まで発生させた電力量は約9億5千万kWhです。一般のご家庭で約7800世帯27年分となります。
水車ランナ(旧)
種類 立軸フランシス
型式 単輪単流渦巻(VF-1RS)
基準出力 7,450 kW
基準水量 12.00 m2/s
基準落差 71.9 m
回転速度 500回転/分
比速度 206 m-kW
材質 ステンレス鋳鋼(SCS1)
重量 2.2 t
平成18年6月
東京発電株式会社 寄贈