都夫良野の地蔵堂

 

地蔵堂眺望図

「新編相模国風土記稿」に描かれていた『地蔵堂眺望図』

希少木「カナクギノキ」
 神奈川県の希少種に指定されているクスノキ科の珍しい木。山北町でも数本しか確認されていない。名前の由来は、クギが作れるほど硬いということではなく、木肌の模称が小鹿の肌に似ているためカノコギ(鹿の子木)となり、これがやがてカナクギに転じ、さらに「の木」がついて「カナクギノキ」になったものらしい。

現地説明版より転載

江戸時代後期の「新編相模国風土記稿」の都夫良野の項に上記の眺望図とともに地蔵堂に関しての記載があります。
地蔵堂
此堂前ヨリ四望スレハ、西ニ富嶽、鋸山、南ニ箱根、猪ヶ鼻ヶ嶽、足柄峠等ノ山岳遥ニ聳エ、近クハ谷ヶ平山、内山等ノ山々ヲ眼下ニ望ム。東方ニハ房州ノ浦々、及ヒ本州三浦三崎、江ノ島ノ地杳ニ見エ、近クハ酒勾川ノ曲流スルヲ望メリ。委シクハ縮図ニ就テ、言外ノ勝趣ヲ想像スヘシ。

要約すると、このお堂の前から眺望すると、西に富士山、鋸山(愛鷹山のことか?)、南には箱根、猪鼻岳(金時山)、足柄峠などの山々が遥かにそびえ、近くには谷ヶ(やが)、平山、内山等の山々が眼下に望める。東方には房総半島、及び三浦半島の三崎、江ノ島が見え、近くには酒匂川が田園地帯を屈曲しながら流れる様が望める。詳しくは挿絵を参照し、言葉では言い表せないほどの絶景を想像してみてください。
といった意味かと思います。
残念ながら、現在は周囲に樹木が繁茂し展望は得られません。


「地蔵堂眺望図」
江戸時代後期に描かれたものですが、現在の地名と対比させるとなかなか面白い発見があります。
小田原の左のところに酒匂村が見て取れます。そこへ続く曲線に酒匂川とあり、上流では河内川と名前を変えています。現在、河内川はもっと上流の鮎沢川と分岐した地点より三保ダム側となります。
内山村の右上に描かれた形の良いドーム形の山は矢倉岳だと思われます。その右後ろは箱根の山々でしょうか。
遠く左の水平線上には房州の山々が、その手前に、三嵜(三崎)、江ノ島、曽我山などが記されてます。

 

車道脇にひっそりとたたずむ現在の地蔵堂

左奥にカナクギノキがあります。

 


 

現地説明版

 

境内の石碑群

 手前の石碑は庚申塔と思われます。


 
地図参照
NEXT(鐘ヶ塚砦跡へ) >>


HOME >> ランドマーク  >  足柄平野のランドマーク  >  都夫良野散策INDEX  >  このページ