関西電力 妻籠発電所

 

妻籠宿に宿泊する機会があり、通りを散策することにしました。
寺下地区を過ぎた集落の外れにアールデコ調のRC造の建築がありました。妻籠発電所です。
妻籠宿の景観に合わせた、木製の黒い塀に囲まれ、建物や鉄塔類も茶系の景観色が施されています。
アールデコは大正から昭和初期にかけて西洋で流行した建築様式で、直線を基調としたシンプルな装飾が特徴です。日本において、現存する建築物としては圧倒的に電力施設が多く、また、建設された時代は、水力発電所の確立期に当たるため、建設当時の姿をとどめた施設を全国にみることができます。

 

地図(別窓)>>


 


妻籠宿の町並み

発電所に面する道路の山側には水圧鉄管が斜面に施工されています。
決して太くないその直径ですが、落差が182mもあるため、出力は2,800kWと水量の割に大きな電力を生み出しています。(※1

 



水圧鉄管

水圧鉄管まで景観色が施されています。


鉄塔 妻篭水槽線


送電鉄塔 妻篭水槽線 1ー1号 関西電力

水圧鉄管の脇に古そうな小さな鉄塔がありました。
名称と規模、様式から考えて、発電所開業当時からのもので、水路の水量を調節するための信号と電力を供給しているものと思われます。


用地占用票

1.許可 24南総第215号 平成24年9月4日
2.占用区域 面積0.61m2
3.場所 南木曽町吾妻788-1
4.占用目的 鉄柱基礎
5.占用期間 平成24年8月13日〜平成29年3月31日
6.占有者 住所 名古屋市東区泉二丁目27番14号
       氏名 関西電力株式会社 東海支社


対岸からの全景

左の変電施設が送り側の妻籠支線

 


遠景 尾俣橋から

年月の経過が作用して、風景になじんだ感があります。


送電鉄塔 与川線 No.71



送電鉄塔 与川線 No.71

発電所構内に古い小型の鉄塔がありました。
塀越し撮影したため、鉄塔札がよく見えませんが、「与川線」と掲げられていることは分かりました。
その名称から判断すると、木曽川沿いにある与川発電所から送電されているものと考えられます。
水力発電を行う場合、発電所自身で発電する電力以外に予め他からの電力を必要とします。理由は発電機で使用する磁石が電磁石であるためで、矛盾しているように聞こえますが、発電機自身で使用する電力は他から得ています。

送電鉄塔 与川線 No.70


送電鉄塔 与川線 No.70

せっかく妻籠宿まで来て発電所を見つけたのだから、もう少し探訪を続けようと、蘭(あららぎ)川の対岸にある鉄塔まで足を延ばしました。
付近は夏草が生い茂り、ヤブ蚊の攻撃に耐えながらの調査でした。


与川線 70 大正15年12月 関西電力

先述の通り、妻籠発電所は与川線から受電しています。
名札には竣工年が大正15年と記載されており、妻籠発電所の開業年である昭和9年と開きがあります。
当初は他の目的で使用されていたのかもしれません。

送電鉄塔 与川線 No.69

与川線の標準的な鉄塔の形体です。
電圧は6kV、もしくはそれ以下だと思われます。

送電鉄塔 与川線 No.67


与川線 68 (大正15年12月) 関西電力

与川線の標準的な鉄塔の形体で、主柱の頂部と腕金の両端に2つずつ碍子が取り付けられた1回線の送電線です。

送電鉄塔 与川線 No.66

 

送電鉄塔 妻籠支線 No.1


妻籠支線 1 昭和30年3月 関西電力株式会社

妻籠発電所で発電された電力が最初に架かる鉄塔がこの「妻籠支線1号鉄塔」で、与川線No.70の隣に聳えています。

航空障害塗色の最上部以外はコゲ茶の景観色で塗装されているのが特徴です。碍子も景観色のものが採用され、その数から判断すると66kVの回線と考えられます。

地形図でみる限り、大桑発電所と新落合発電所を結ぶ送電線(送電線名未調査)に接続しているようです。


蘭川 あららぎがわ 発電所取水ダム


蘭川発電所取水ダム 尾俣橋より撮影


関西電力 蘭川(あららぎがわ)発電所 遠景

妻籠宿に平行して蘭川(あららぎがわ)が流れています。妻籠発電所の直下には取水ダムがあり、下流左岸の蘭川発電所で使用されます。


引用: (※1 「水力ドットコム」さん

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